〜トイレで二人



炎天下の夏空

こればかりかと泣き喚く夏ゼミ

その日、自分は真駒内川に来ていました

気がつくと頭上にあったはずの太陽は煌々と空を赤く染め始め

ふと、ポケットのケータイを取り出すと6時過ぎ

同業者は誰も居ませんでした

竿を出しながら来た道を戻る


人気がないと寂しいものだなぁって痛感する頃には7時をまわり、

近くの公園からもにぎやかな声が聞こえなくなっていました

土手を上がって公園に入る


あ、トイレよってこう


とりあえず公園内を探し回り、適当にトイレに入り個室に入ります。

蛍光灯が眩しい

鍵を閉め、カバンを置き腰を下ろす


・・・・・・・。

・・・すーーーーー。

だれだろう?

明らかに誰かが壁の上に爪を滑らせている

それも、行ったり来たり

誰か入ったのか?

まさか、ここの入り口にはドアがある

第一、足音だっていてないのに


十数秒の無音の世界


コツンッ


体に何かが当たりハッとしました

横を見ると確かに鍵を閉めたはずのドアが開いていました

横にスライドさせるタイプの鍵

締めが甘ければ甘かったわけではなく、完全に摘みが動いています

さすがに怖くなって足早にそこを去りました


次の日、肩が重く、頭がクラクラしてました

連れて来てしっまたのか、ただの偶然か。

どちらにせよ、あの時

トイレにはもう一人居たのだと思います。