〜幼少の記憶〜


まだ自分が幼かった頃

何時に寝て何時に起きる

時計の読み方を知らなかったこともあったせいか、

そんな習慣は身についていなかった頃の話です

そんなせいか夜遅くに目が覚めるなんてことも珍しくなかったありませんでした。


たしか自分が幼稚園の時だったでしょうか

その日も夜遅くにふと、目が覚めてしまいました

豆電球から零れる温かい明かりが照らしていました。

隣には両親が寝息を立てている。

頭の上にはテレビがありました

豆電球の明かりが何も映らないブラウン管にもう一人の自分を浮かべます。


「?」


対になった世界に何か違和感を覚えたのはその直後でした。

自分が布団をかぶってテレビを覗いていて、隣に父さんと母さんがいて・・・

なかなか働かない頭で一つ一つ確かめていく。

布団があって、時計があって、タンスがあって・・・

黒い。黒いなんだろ。


一つ、ん? 

4、五つ。...


足元の先に黒い塊がありました。

ブラウン管の中の世界から目が離せなくなりました。

怖くて振り返れないせいか、好奇心のせいか、

とにかく体が硬直していたのを覚えています。


子供かな?


黒い塊がだんだんと人らしく見えてきました

中学生くらいなのが3人、小学生くらいなのが2人

ただ、たたずんでいました

一番左に居た中学生くらいの子が手招きをしました


やだ、怖い


そう思ったと同時にその子がこちらに近づいてきた

周りの子も一斉に手招きを始めました

ゆっくり、音もなく、まるで本当にテレビの中に居るかのように。


急いで布団をかぶり、目をつぶりました

布団越しに気配を感じ、意識が遠くのを感じました


気がつくと朝になっていました

それ以来、その子たちとは会っていませんが、後に母からこんな話を聞きました

自分の上には5人の子が居たということ

残念ながら生まれる前に亡くなってしまったそうです

そして、歳もちょうど当時生きていれば中学生くらい、小学生くらいだということ